1. トップページ
  2. 米国連邦控訴裁判所(CAFC)判決
  3. 2019年

米国連邦控訴裁判所(CAFC)判決
2019年一覧

2019年12月号

Airbus S.A.S. 対 Firepass Corporation 事件

自明性の拒絶理由に用いる先行技術は、クレームされた発明に類似する先行技術(analogous prior art)でなくてはならない(MPEP § 2141.01(a))。この判決は、特定の先行技術が「類似する先行技術」であることを立証する目的で、他の引用文献のような追加証拠に頼ってもよいことを示した。したがって、一見するとクレームされた発明に類似しない先行技術であっても、適切な追加証拠を用意すれば、そのような先行技術に基づいて特許を無効にできる可能性がある。

CAFC, No. 19-1803 (November 8, 2019)

もっと見る

Koninklijke KPN N.V. 対 Gemalto M2M GMBH 事件

CAFCはこの判決で、既存の技術プロセスに対する具体的な改善をクレームが記載している場合には、ソフトウェア特許の特許適格性が認められるという先例を再確認した。 この判決は、特にデータ処理の分野において、ソフトウェア特許を扱う実務者にとって、特許適格性に関する有益なガイドラインを提供している。本件における認定によれば、技術的改善に向けられている特許クレームは、単に達成されるべき結果を記載するのではなく、改善を提供するための特定の方法又は手段を記載しているのであれば、特許法101条の特許適格性要件を満足する可能性が高い。

CAFC Nos. 2018-1863, 2018-1864, 2018-1865 (November 15, 2019)

もっと見る

In re David Fought, Martin Clanton 事件

CAFCはこの判決で、クレームのプリアンブルをクレームの本文と区別する移行句について判断した。具体的には、クレームのプリアンブルを本文と区別するための「備える(comprising)」などの特定の用語は必要でなく、「有する(having)」または「含む(including)」などの別の用語がその機能を発揮して、クレーム本体部からプリアンブルを分離することができることを判断した。また、この判決は、クレームの主題を特定するためにクレームのプリアンブルで使用されるラベル(例えば、「トラベルトレーラー」)が、クレームに構造的限定を課す場合があることも判断した。すなわち、プリアンブルに記載された用語により、クレームのスコープを効果的に狭めることができる場合がある。

CAFC No. 19-1127 (November 4, 2019)

もっと見る

2019年8月号

Kolcraft Enterprises, Inc. 対 Graco Children’s Products, Inc. 事件

CAFCはこの判決で、発明日を認定するために、発明者に既存する証拠だけでは足らず、発明者から独立した証拠が必要となることを示した。AIA施行後は先発明者先願主義のルールに従って先願が処理されるものの、AIA以前の特許がまだ多く存在する。これらの特許では、出願日よりも前の着想日を証明することが必要となる場合がある。

CAFC Nos. 2018-1258; 2018-1260 (July 2, 2019)

もっと見る

Samsung Electronics Co., Ltd. 対 Infobridge Pte. Ltd. 事件

CAFCはこの判決で、(1)パテントプールの契約内容によっては、プールのメンバは、他のプールのメンバがプールに入れている特許を無効にすることについての利害関係人となりうること、(2)文献が先行技術として公に利用可能になったというためには、技術的な利用可能性以上の事情があったことを示す必要があること、を示した。

CAFC Nos. 2018-2007, 2018-2012 (July 12, 2019)

もっと見る

2019年6月号

FTC 対 Qualcomm Inc. 事件

この判決において、カリフォルニア州北部地区連邦地裁は、被告によるSEP特許に関するライセンス実務がシャーマン法に規定する不当な取引制限又は排除行為にあたると判断した。本判決は、企業がライセンス契約に関して不公正な行為を行っているとFTCが疑った場合には、企業による関連市場についてのSEPの所有と、これらのSEPに関するライセンス実務が、裁判所によって詳細に調べられる可能性があることを意味する。また、本判決は、被告のライセンス実務の是正及び遵守状況のFTCへの報告も命じた。

N. D. Cal. No. 17-CV-00220 (May 21, 2019)

もっと見る

2019年4月号

Athena Diagnostics 対 Mayo Collaborative Services 事件

CAFCはこの判決で、病気を診断する方法をカバーする特許クレームが米国特許法101条における特許適格性を有するかを判断した。CAFCは、自然法則を検出するステップをカバーするクレームは、米国最高裁のAlice/Mayoの2パートテストのもと特許不適格であると判断した。この判決は、自然現象を観測又は検出することを含む診断方法のクレームを、特許適格性の基準に基づいてどのように分析するかについての手引きを提供する。

CAFC No. 2017-2508 (February 6, 2019)

もっと見る

Natural Alternatives International, Inc. 対 Creative Compounds, LLC 事件

CAFCはこの判決で、特定の用量の天然成分(ベータアラニン)を含む栄養補助食品をカバーする特許クレームが米国特許法第101条に基づく特許適格性を有する主題であるかについての問題を扱った。米国連邦地裁を覆して、CAFCは、ベータアラニンは天然物であるが、クレームは「天然物を含有する特定の治療製剤」であり、自然のままのベータアラニンでは不可能な方法においてこのような天然物を使用できると判断した。特に、CAFCは、治療のクレームに対する適格性の重要な要素は、「特定の生理的利益」につながる方法で「恒常性が克服される」か否かであると説明し、栄養補助食品の生理的利益によって、治療クレームとして特許適格性を備えることが示された。この判決は、天然の化合物を用いた治療にもかかわらず、米国特許法第101条の下でこのような治療についての特許適格性を備える可能性がある場合を明確にするのに役立つであろう。

CAFC No. 2018-1295 (March 15, 2019)

もっと見る

2019年2月号

Helsinn Healthcare S.A. 対 Teva Pharmaceuticals USA, Inc.事件

この判決では、リーヒ・スミス米国発明法(AIA)による改正後のon-sale bar(販売による不特許事由)について、発明者が第三者に対して発明の販売(又はその申し出)を行った場合には、たとえ第三者が発明を秘密に保持する義務を負っていたとしてもon-sale barに該当しうることが明らかになった。なお、この事件では、発明の詳細は秘密に保持されていたが、販売(の申し出)の存在自体は公にされていた。したがって、この判決は、販売(の申し出)の存在自体が公にされていない場合に対しては、必ずしも指針を提供するものではない。

No. 17-1229 (U.S. January 22, 2019)

もっと見る

弊所の大塚弁理士と坂田弁理士が執筆した、本最高裁判決の原審であるCAFC判決の解説が、知財管理誌に掲載されました。こちらをご覧ください。

(一般社団法人日本知的財産協会「知財管理」Vol. 67, No. 12, pp. 1911-1920 (2017))

  1. トップページ
  2. 米国連邦控訴裁判所(CAFC)判決
  3. 2019年

ページ上部へ