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米国連邦控訴裁判所(CAFC)判決
2017年一覧

2017年11月号

Aqua Products, Inc. 対. Matal 事件

当事者系レビュー(「IPR」)係属中に行った補正による補正後クレームの特許性についての立証責任を特許権者に課すとした従来の審判合議体のアプローチに反して、CAFC大法廷は補正後クレームの特許性欠如についての立証責任を請求人に課すという判断をした。この判例の後でも、米国特許法及び米国特許規則の改正は直ちに行われないと思われるが、当面は、IPR手続の中で提出された補正クレームの特許性欠如の立証責任は請求人に課されることになる。そのため、現に係属中のIPRでのクレームの補正に関しては、特許権者側の戦略的な再考が必要と思われる。

CAFC (en banc) No. 15-1177 (Oct 4, 2017)

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General Plastic Industrial Co., Ltd. 対 Canon Kabushiki Kaisha 事件

この決定において、PTABの拡大合議体は、同一申請者が同一特許の同一クレームに対して行った追加のIPR申請(無効理由を構成する先行技術は最初のIPR申請と異なる)について、裁量によりIPRを開始せずに却下した。拡大合議体によれば、追加のIPR申請を提出することを当然に妨げる規則が存在する訳ではないが、所定の7要素を考慮することによりIPR申請を裁量により却下することができる。本事件のIPR申請者は、拡大合議体の理由付けによれば事実上全てのケースにおいて追加のIPR申請を提出することが禁止されることになると主張したが、受け入れられなかった。この決定は、PTABにより先例になるものとして指定された。したがって、今後は同一特許の同一クレームに対して追加のIPR申請を行った場合、IPRが開始されることはあまり期待できないものと思われる。

PTAB IPR2016-01357 et seq. (Sep 6, 2017)

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2017年9月号

Aylus Networks, Inc. 対 Apple Inc. 事件

この判決において、CAFCは、当事者系レビュー(IPR)手続中に特許権者によって米国特許商標庁での陳述であってIPRの開始前のものが、後の連邦地裁による特許クレームの解釈において根拠になり得るかについて判示した。CAFCは、IPR申立てに対する特許権者の予備的応答における陳述を根拠として特許クレームを狭く解釈したうえで、その狭い解釈に基づいて非侵害の略式判決を下した連邦地裁の判断を支持し、たとえ開始前であっても、IPRにおいてなされた特許権者の陳述はクレームの技術的範囲の審査経過における一部放棄を構成するとの判断を維持した。特許権者は、開始前に提出する予備的応答であってもIPRにおける陳述に対してより一層注意を払わなければならない。

No. 2016-1599 (May 11, 2017)

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Ex parte McAward 事件

この判決は、発行前審査において審判部によりクレーム解釈に適用される基準と特許訴訟において裁判所により適用される基準とが異なることに焦点を当て、再確認した。McAward事件及び審判部による先行事件で説明されるように、特許権者は、審判部が裁判所よりも容易にクレームを不明確であると認定しうることに留意すべきである。さらに、米国特許商標庁に対する実務家は、明確性についての両方の法的基準を意識し、どちらの基準でも通用するクレームをドラフトすべきである。

審判No. 2015-006416, PTAB (August 25, 2017)

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2017年8月号

TC Heartland LLC 対 Kraft Foods Group Brands LLC 事件

この判決において、米国最高裁は、米国企業に対する特許侵害訴訟における適切な裁判地、すなわちどの裁判所において特許権者が米国企業を特許侵害で訴えられるか、という問題を検討した。最高裁は、企業である被告の、特許事件での裁判地に関する特別な法における「居住(reside)」の定義は、他の民事事件に関する一般法における定義と同じであり、「居住」の定義は米国企業が設立された(incorporated)州に限定されると判示した。この判決により、米国企業を被告とする特許訴訟の裁判地は、被告企業の設立地、又は被告が侵害行為を行いかつ正規の確立した事業地を有する地に制限されることが明確となった。原告に有利な特定の裁判所への提訴が困難になる可能性がある。

No. 16-341 (May 22, 2017)

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Impression Products, Inc. 対 Lexmark Int’l, Inc. 事件

この判決において、米国最高裁判所は、特許の消尽および販売された商品に対する販売後の制限に関する20年前の二つの連邦巡回控訴裁判所の判決を覆した。米国最高裁判所はこれら二つの下級審の判決を廃し、特許権者の「商品を売るという決定は、[特許権者が]課されるべきと主張するいかなる制限や販売の場所によらず、その物についての全ての特許権を消尽させる」と判示した。このため、今後米国は「国際消尽」と称されるシステムに従うこととなるであろう。

No. 15-1189 (May 30, 2017)

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