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月刊The Lawyers 2016年12月号(第204回)

1. Lyda 対 CBS Corporation 事件

No. 2015-1923 (Fed. Cir. September 30, 2016)

- 規則改正前のフォーム18を共同侵害の主張に不適用とした判決 -

このライダ事件において、CAFCは訴状に関する不備を却下する申立てを審理する上で、連邦民事訴訟規則のフォーム18の求める訴状基準が、特許権の共同侵害の主張に適用されるか否かについて判断した。

CAFCは、フォーム18は共同侵害の主張に適用されず、ライダの訂正後の訴状は適用可能なTowmbly/Iqbal事件の訴状基準を満たしていないと判示した。したがって、CAFCは、地方裁判所が連邦民事訴訟規則12(b)(6)に基づく訂正後の訴状を却下したことを追認した。

ライダの特許は、視聴者がパソコンを必要とせずにリアルタイムに放送に対して応答可能な、遠隔プログラムへの即時応答を実現する方法およびシステムに関するものである。視聴者は、個人の投票を特定する「識別コード」と共に投票を入力する。その視聴者のレスポンスは「標準的コミュニケーションシステム」を通して中央に集められ、識別コードで関連付けされ、集計されるという仕組みだ。

ライダはCBS Corporationおよびその完全子会社であるCBS Interactive, Inc.(以下、合わせて「CBS」)を、「Big Brother」というテレビ番組の製作および運営における特許権侵害を理由に提訴した。

CBSがライダに対し、訴状原本の不備を指摘した後に、ライダは訂正した訴状を提出した。訂正後の訴状において、CBSは、テレビの視聴者が携帯電話からテキストメッセージを通して意見表明することによって番組に影響を与えることを許諾しているとして、CBSのBig Brotherのテレビ番組の運営は、ライダの特許権を侵害していると主張した。

ライダは、「被告のCBS InteractiveがBig Brotherの番組を運営し、自社の管理下でシステムのテストを併用して独自に請け負っていた」ことによって、CBSは特許権を侵害したと主張した。

特に、訂正後の訴状では、管理下にある個人、あるいはCBSと契約した独立した請負業者がテキストメッセージを用いて意見を表明していたと主張していた。さらに訂正後の訴状では、CBSが生放送の間にそのシステムを使用する前に、テキストメッセージの応答を受信することを可能にするシステムの能力をテストしていたことも主張していた。

訂正後の訴状は、このようなテストは、CBSの管理下において独立した請負業者によって実行されたと述べていた。訂正後の訴状は、これらの独立した請負業者らは無名の第三者に投票操作のテストを指示し管理していたと主張した。

CBSは、連邦民事訴訟規則12(b)(6)に基づき、請求に関する不備を理由に訂正後の訴状の却下を申し立てた。地方裁判所は、一般的に地裁は共同侵害の主張にフォーム18を適用しないと述べた。

地方裁判所は、ライダは共同侵害を明言していないが、その主張は共同侵害の理論に関係していると判断した。地方裁判所は、訂正後の訴状における主張はフォーム18に基づいて述べられている訴状基準を満たしていないと結論付け、CBS側の申立てを認める判決を下した。

控訴審においてCAFCは、訂正後の訴状の個々の論点が共同侵害に関係しており、フォーム18は共同侵害の主張に適用せず、ライダはTwombly/Iqbal事件の訴状基準に基づき共同侵害の信頼できる主張をしていなかったことから、地方裁判所による規則12(b)(6)に基づく訴状の却下を支持した。

CAFCは、Twombly/Iqbal事件の訴状基準に基づき、原告は、訴状却下の申立てを解消するためには、救済を求める信頼できる主張を述べるために十分な事実を主張しなければならないと述べ、被告に違法行為の責任があるという合理的な推論に関する相応の記載はあるものの、訴因の「おそまつな説明」では不十分であると説明した。

CAFCは、適用可能な共同侵害の判例に基づき、ある事業体が他人の行為または関係者を「指示または管理」することが共同事業を形成する場合、その事業体は他人による方法工程の実施に対して責任がある、と述べた。

CAFCは、誘因侵害または寄与侵害の主張の様に、共同侵害の申立てには、フォーム18に指示された直接侵害に必要な要素を超える要素が必要であると述べた。したがって、CAFCは共同侵害の申立ては、フォーム18を参照せずに、Twombly/Iqbal事件の基準によって判断すべきであると結論付けた。

CAFCは、共同侵害の主張には、全ての方法ステップが実施されており、(1)ある当事者が他人による実施に必要な「指示または管理」をしているか、あるいは、(2)実施者が、個々のステップの実施がその当事者の指示に起因する共同事業を形成している、といった合理的な影響を十分に許諾するような訴えの事実が必要であると結論付けた。さらに、CAFCはライダの訂正後の訴状の個々の項目は共同侵害に関係していると判断した。

CAFCは訂正後の訴状には、意図的に無名の第三者を指示あるいは管理した独立した請負業者をCBSが指示または管理した事実の裏付けが無いと判断した。

CAFCは、訂正後の訴状には、個々の主張工程がCBSによって実施されたか、もしくは起因する、合理的な影響の根拠となり得る主張がないと述べた。訂正後の訴状は、適用可能な法律の下での実行可能な共同侵害の主張を供述する十分な事実を申し立てていないので、Twombly/Iqbal事件の訴状基準を満たしていない、とCAFCは結論付けたわけである。

したがって、CAFCは、地方裁判所の連邦民事訴訟規則12(b)(6)に基づく訂正後の訴状の却下を追認した。

この判決は、最高裁が2015年12月1日付でフォーム18を除外する以前に提出された共同侵害の主張において、連邦民事訴訟規則のフォーム18は適用しないことを確認した。

ライダ事件においてCAFCは、共同侵害を主張する訴状は、フォーム18の適用が除外される前に提出された訴状であってもTwombly/Iqbal事件の訴状基準を満たさなければならないことを明らかにした。この判決は、特許侵害の申立てにおいて、訴状却下を避けるためには、個々の対象特許クレームに対する十分な事実に基づく申立てをしなければならないことを示した。

この判決のポイント

この判決では、改正後の連邦民事訴訟規則12(b)(6)に基づき、フォーム18を共同侵害の主張事件に適用しないことを確認した。また、法改正前に提訴された事件も、訴状はTwombly/Iqbal事件の訴状基準を満たさなければならないことを明らかにした。共同侵害の申立てには、訴因として十分な事実の記載が必要である。

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