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月刊The Lawyers 2016年1月号(第194回)

2. Momenta Pharmaceuticals, Inc. 対 Teva Pharmaceuticals USA, Inc.

Nos. 2014-1274, 2014-1277 (Fed. Cir. November 10, 2015)

- 製品の実際の製造と最終製品または中間物質の品質管理試験をCAFCが区別し、
§271 (g)と§271(e)(1)の適用を判断した事件 -

地方裁判所が、米国特許第7,575,886(886特許)について、U.S.C.§271(g)に基づきテバ(Teva Pharmaceuticals USA Inc.)の非侵害を認定し、テバとアムファスター(Amphastar Pharmaceuticals, Inc.)は、U.S.C.§271(e)(1)のセーフハーバー(安全地帯)規定により保護されると判断した件について、特許権者モメンタ(Momenta Pharmaceuticals, Inc.)は、2件の対をなす事件をCAFCへ控訴した。

CAFCは、テバに対する§271(g)に基づく侵害無しとする地裁認定を支持したが、テバとアムファスターは§271(e)(1)により保護されるとした地裁判決を破棄した。よって、CAFCは、アムファスターの行為は§271(e)(1)のセーフハーバー規定により保護されるとした認定の限り、アムファスターに有利な(侵害しないとした)判決を破棄し、アムファスターに関して事件を差し戻した。

エノキサパリンは、商品名ラブノックス(Lovenox)として1993年に米国において販売承認を受けた、血栓を防止する抗凝固剤である。2010年に、モメンタは、エノキサパリンのジェネリック医薬品を初めて販売する会社になった。モメンタはまた、エノキサパリンの各バッチは、商品名ラブノックスの特徴である個別糖鎖を有することを確保する製造制御プロセスに関する886特許の譲受人でもあった。

テバとアムファスターは、エノキサパリンの後発品市場に参入しようとした。テバは、エノキサパリン自体を製造せず、エノキサパリン後発品を製造、解析、試験、包装、及びラベリングするイタリアの会社から製品を調達し、その製品を米国に輸入している。一方、アムファスターは、米国内でエノキサパリン製品を製造していた。

§271(g)は、米国にて特許付与された方法により製造された、製品の販売を禁止する旨を規定する。控訴審においてCAFCはまず、§271(g)に照らして、テバとアムファスターのエノキサパリン製品は、モメンタの特許方法(により製造された)かどうかを検討し、特許方法により製造されていないと結論した。

次にCAFCは、製品の実際の製造と、目的の製品または物質が製造されたかどうかを確認するための最終製品、または中間物質の試験方法とを区別した。CAFCは、§271(g)でいう「製造」の通常の意味は、「造ること(manufacture)」であり、合成、成分の組み合わせ、または原材料に新しい性質を与えること等、製品の生成または変換を含むと説明した。

しかし、「製造」は、既に合成された医薬物質が、既存の品質や性質を有するかを決定するための試験までには及ばない。モメンタの特許方法は、エノキサパリンの製造ではなく、品質管理出荷試験方法に関連するため、テバのエノキサパリン製品は、§271(g)の意味でモメンタの特許方法により「製造」されていない。

§271(e)(1)は、「製造,使用又は販売を規制する連邦法に基づく開発及び情報提出に合理的に関連する使用のみを目的として」発明を使用することは、侵害行為に該当しない旨を規定する。しかし、§271(e)(1)は、販売承認を得て時間が経過した後に、FDAへ定期的に報告する情報には適用されない。

CAFCは、アムファスターが§271(e)(1)のセーフハーバー規定により保護されないと認定した上、後発品エノキサパリンの各バッチの品質管理試験を含むアムファスターの承認後の商業製造方法を、「定期的(routine)」なものとみなし、セーフハーバー保護の対象外とした。

CAFCは、アムファスターによるモメンタの特許方法の使用を§271(e)(1)のセーフハーバー規定の対象とすることは、不公正を生じさせることとなり、同当事者に関連する前の判決が存在した場合を除き、継続する商業製造及び販売に関する行為に及ぶ§271(e)(1)下の免除を与える先例は存在しないと理由付けた。

このモメンタ判決は、§271(g)に規定される責任が、一般に特許方法による製品の製造に限定され、最終製品または中間物質の試験方法には及ばないことを明らかにした。また、承認後の商業製造プロセスの一部としての後発医薬品の定期品質管理試験は、§271(e)(1)のセーフハーバー規定に保護されないことも明らかにしている。

この判決のポイント

この判決において、CAFCは、§271(g)の適用の際、製品の実際の製造と、最終製品または中間物質の品質管理試験を区別し、後者には§271(g)は適用されないこと判示した。また、品質管理試験等、販売承認を得た後の定期試験は、§271(e)(1)のセーフハーバー規定の対象外であることを判示した。

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