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月刊The Lawyers 2015年10月号(第191回)

3. Circuit Check Inc. 対 QXQ Inc., 事件

No. 15-1155 (July 28, 2015)

- 自明性の判断において、先行技術の類似性の重要性を示した判決 -

サーキットチェック(Circuit Check Inc.)は、回路基板試験装置のためのインタフェースプレートに関する特許をいくつか所有する。回路基板試験装置とは、回路基板を製品に搭載する前に試験するために使用される穴の開いたプラスチックのグリッドであり、試験装置を回路基板に接続可能にするインタフェースプレートを必要とする。試験中に回路基板を整列させるために、プレートに特定の穴をマークすることが有利である。

サーキットチェックの特許はインタフェースプレートに関連し、そのインタフェースプレートは表面を備え、プレートのある部分における穴は、その穴を囲む表面を覆う所定の第1の印と、その第1の印とは異なる印であって、第1の印の外観により識別可能な所定の穴に隣接した前記プレートの領域から除去される第2の除去可能な印とを有する。

サーキットチェックが侵害訴訟を提起したのは、QXQ(QXQ Inc.)に対してである。QXQは侵害を認め、サーキットチェックの特許クレームが当業者にとって容易であったかの問題について裁判が行われた。

QXQは、先行技術に、インタフェースプレートという文脈において、第2の除去可能な印が開示されていないことも認めたが、岩面彫刻、彫刻された標識、及びPrussian Blueと呼ばれる機械加工において開示されていると主張した。

陪審員は、クレームは自明でないと判断した。しかし、地方裁判所は、先行文献に記載されている方法でインタフェースプレートに印をつけられることは、専門家でない人でも思いつくことに基づき、クレームは自明であると法律問題としてQXQの申立を承諾した。控訴審のCAFCは地裁の判決を破棄し、陪審員の判断を復活させた。

まず、CAFCが指摘したのは、裁判所は理性的な陪審員団がその結論に至り得ない場合にのみ、陪審員の判断を覆すことができるという点である。自明性の検討において、入手可能な先行文献の範囲に含まれると認定するためには、その文献は類似する必要がある。類似する文献は、同じ分野、または発明者が解決しようとしている具体的な問題に合理的に関連する必要があるのである。

CAFCは、岩面彫刻、彫刻された標識、及びPrussian Blueと呼ばれる機械加工は、回路基板試験装置や試験装置の分野に所属しないため、問題は先行文献が発明者が解決しようとしている問題に合理的に関連するか否かであると述べ、理性的な陪審員団は、関連しないと判断したはずだと認定した。

普段から慣れ親しんでいる事項は、主要目的以外の自明な使い道もあるが、先行技術は、解決する問題を検討する際に発明者が関心を寄せたであろうと合理的に想定される場合のみ、合理的な関連性が認められる。

CAFCは、陪審員がインタフェースプレートに印をつけることとの関連において、岩面彫刻、彫刻された標識、及びPrussian Blueと呼ばれる機械加工を当業者が思い浮かべることはないであろうとの証言を聞いたと説明した。

CAFCは、陪審員のこの証言を考慮して、当業者はこのような先行技術に発明者が関心を寄せたとは合理的には思わないと述べた、単純にそのようなシステムや方法が知られていたというだけで、被疑侵害者がどのようなシステムや方法でも技術常識であると言うことは許されないと述べた。

最後に、CAFCは、地裁が従属クレームを無効とした判断は、QXQがそのクレームの特徴が自明であるとの主張を支持する証拠を提示しなかったために、誤りであると判断した。

サーキットチェック判決は、自明性の判断において、類似する先行文献の要件の重要性を示す。この判決は、CAFCは、類似しない先行文献に基づく自明性の判断を支持しないことを確認した。また、この判決は、その判断が実質的な証拠に支持されていれば、CAFCは陪審員の判断を尊重することを示す。

この判決のポイント

この判決は、自明性の判断において先行技術には、類似技術、つまり同じ分野または発明者が解決しようとする具体的な課題に合理的に関連することが必要なことを判示した。

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