1. トップページ
  2. 米国連邦裁判所(CAFC)判決
  3. 2015年
  4. 3. Automated Merchandising Systems, Inc. 対 Lee 事件

月刊The Lawyers 2015年6月号(第187回)

3. Automated Merchandising Systems, Inc. 対 Lee 事件

No. 14-1728 (April 10, 2015)

- 両当事者が和解しても当事者系レビューを終了できない可能性を示した判決 -

裁判所とPTOとの間における三権分立の問題を扱った事件において、CAFCは、再審査手続の終了をPTOが拒否したことは中間的命令であるため、審理不可能な最終的でない行政処分であると判断した。

AMS(Automated Merchandising Systems, Inc.)は、4つある特許権の侵害について、クレーン(Crane Co.)に対して訴訟を提起した。これに応じて、クレーンは、当事者系レビュー手続の請求をPTOに提出した。

その後、AMSとクレーンは紛争を解決し、侵害訴訟の放棄と特許有効の了解事項とを含んだ同意判決に至った。続いて、AMSは、同意判決は対象特許クレームのいずれについても無効を立証しなかったクレーンに対する「最終決定」であるので、35USC§317(b)に基づき、係属中の再審査を終了させるようにPTOに求めた。

PTOは、AMSによる終了の申立てを却下し、AMSは、この決定について、行政訴訟法(APA)に基づいて、バージニア州東部地区の地方裁判所に不服を申し立てた。

地方裁判所は、同意判決はクレーンが特許無効の立証に失敗したという決定ではなく両当事者間の了解事項に過ぎないため、35USC§317(b)は再審査の終了を要求しないと判断した。この判断に基づき、地方裁判所はPTOの主張を認める略式判決を認めたため、AMSは控訴した。

CAFCは、当事者系レビューの終了をPTOが却下したことに対しての即時の検討を規定した法令は存在しないと判断した。APAの下では、裁判所における他の適切な救済方法が存在しない最終的な行政処分が、司法による審理の対象である。

この法律は、予備的で手続的な行政処分は、最終的な行政処分の検討の際に審理対象になると規定している。それゆえ、CAFCは、PTOが終了申立を却下したことは、それが「最終的な行政処分」でない限り、審理不可能であると判断した。

CAFCは、最高裁判所の以下の2パートテストを適用して、PTOによる却下が最終的な行政処分に該当するか否かを判断した。(1)この処分が、行政の意思決定プロセスの完了を意味するか否か。(2)この処分が、法的結果をもたらす権利又は義務を決定するか否か。

CAFCは、PTOによる却下は事実上中間的なものであり、最終的な行政処分ではないと判断し、PTOによる却下は最終処分に至る過程の中のものだと述べた。

CAFCはまた、PTOによる終了申立の却下によってAMSはいかなる特許権も失っておらず、却下による唯一の直接的な結果は、AMSが審査に参加し続けなければならないことだけであると判断し、AMSがPTOから不利な結論を受けた場合には、AMSは裁判所における適切な救済方法を有することになり、PTOによる却下は、この最終的な行政処分と共に審理可能になると結論付けた。

この判決は、当事者系レビューの申請後は、特許権者がこの手続を終了させることは困難であるということを示す。場合によっては、手続を完了させるというPTOの関心が、紛争について相互に合意可能な結論を得るという両当事者の関心を上回る可能性がある。

この判決のポイント

この判決は、当事者系レビューの申請後は、たとえ両当事者が裁判所で和解しても、この手続を終了できない可能性があることを示す。従って、利害関係者及び実務家は、特許付与後のPTOの手続を申請する際には、特許付与後のPTOの手続きが含み得る紛争解決の可能性に注意を払いながら、当事者系レビューに対応しなければならない。

  1. トップページ
  2. 米国連邦裁判所(CAFC)判決
  3. 2015年
  4. 3. Automated Merchandising Systems, Inc. 対 Lee 事件

ページ上部へ