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月刊The Lawyers 2015年5月号(第186回)

3. Two-Way Media LLC 対 AT&T, Inc. 事件

No. 2014-1302 (March 19, 2015)

- 代理人が通知を見落として上訴期間を徒過した問題の事件 -

TWM(Two-Way Media LLC)は、AT&T, Inc.及び関連会社(以下、まとめてAT&T)に対して侵害訴訟を起こした。陪審員は、AT&Tの特許権侵害を認め、4000万ドルの賠償額を裁定した。地方裁判所は最終判決を登録した。その後、地方裁判所はAT&Tによる4回のJMOL(法律問題としての判決)の申立をすべて却下した。

これらのJMOLの申立のうち3つが機密情報を伴っていたので、AT&Tは封印してこれらを提出することを申し立てた。

地方裁判所はAT&TによるJMOLの申立を却下した時点で、機密の申立を対象とする3つの命令を、封印することの申立を許可する命令として分類したが、JMOLの申立で求められた救済が同じ命令で却下されることを示さなかった。

特に、当事者は、「許可命令=封印された文書の提出の許可を求める申立」として分類されたこれらの命令のそれぞれに対する電子ファイリングの通知を受け取った。

命令には、電子ファイリングの通知内のハイパーリンクをクリックすることによってアクセスできた。命令は、AT&TによるJMOLの申立が却下されたことを明示していた。

AT&Tは、控訴申立を提出するための期間を渡過してから相当の時間が経つまで、自身のJMOLの申立が本案で実際に却下されたことを知ることができなかったと主張した。この発見をしたことの主張の翌日に、AT&Tは控訴期間を延長または再開することの申立を提出した。地方裁判所は申立を却下した。この却下は、AT&Tの上訴権を消滅する効果を有していた。AT&Tは地方裁判所による申立の却下に対して控訴した。

控訴審において、CAFCは、連邦上訴手続規則に従って、当事者が免責事項のある過失または正当事由を立証できるならば、控訴期間の『延長』を受ける資格を有しうると説明した。

CAFCは、申立当事者が判決の登録の通知または発行の命令を一度も受け取っていないと地方裁判所が判断したならば、地方裁判所は控訴期間を『再開』してもよいと述べた。CAFCは、裁量権の濫用についてこれらの決定を再検討した。

地方裁判所は、控訴期間の延長申立に関するAT&Tの主張を却下し、AT&Tが免責事項のある過失または正当事由の十分な立証を行わなかったと判断した。

地方裁判所は、すべての代理人は裁判所から受け取ったすべての命令の内容を読む責任を有しており、電子ファイリングシステムから受信した電子メール通知に頼るだけでは不十分であると結論付けた。

CAFCは地方裁判所を支持し、基礎となる命令を読まなかったことに対する免責事項のある過失を立証する立証責任をAT&Tが果たしていないと判断する際に地方裁判所が裁量権を濫用することはなかったと判断した。

地方裁判所はまた、AT&Tに対する判決の登録の通知を一度も受け取らなかったというAT&Tの主張を却下した。

CAFCはこの点でも地方裁判所を支持し、基礎となる命令を送信した電子ファイリングの通知によって惑わされたのでAT&Tはこれらの命令を読まなかったというAT&Tの主張を棄却した。

CAFCは、AT&Tが地方裁判所の命令の通知を受け取っていたかどうかが関連する問題であると論じた。この問題について、CAFCは、命令が裁判所のドケットに登録されたことを示す電子通知を受け取っていたので、AT&Tは適切な通知を受け取っていたと結論付けた。

この判決のポイント

この事件の判決は、米国の訴訟において、当事者の利益は多くの規則によって支配されていることを教えている。控訴期間も規則に縛られ、これを徒過すると不利な判決に控訴する機会が消失する。当事者及び代理人は、裁判所からのすべての命令を注意深く読み、期限に間に合うようにあらゆる努力をしなければならない。

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