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月刊The Lawyers 2015年3月号(第184回)

3. Versata Software, Inc. et al. 対 Callidus Software, Inc. 事件

No. 2014-1468 (November 20, 2014)

- 付与後レビューの申立、特に申立タイミングと侵害裁判の中断を論じた判決 -

ベルサータ(Versata Softwa-re, Inc., Versata Development Group, Inc. and Versata, Inc.)は、カリダス(Callidus Softwa-re, Inc.)を米国特許第7,904,326号(326特許)、第7,908,304号(304特許)、第7,958,024号(024特許)の特許権侵害でデラウェア州地方裁判所へ出訴した。

2012年9月、訴状提出の約2か月後に、カリダスは移送申立ておよびベルサータの訴訟却下を申し立てた。この二つの申立ては2013年5月に却下された。2013年8月、カリダスは対象ビジネス方法特許の暫定プログラムに基づき、被侵害特許の付与後レビューの申立てを提出すると共に、地方裁判所における裁判の中断を申請した。

対象ビジネス方法レビュー(Covered Business Method review)(以下、CBMレビュー)の請願では、326特許の全てのクレームと、304特許および024特許の個々の独立クレームおよび幾つかの従属クレームの有効性について見直しを求めた。CBMレビューの請願書が提出された時点で、ベルサータはまだその請願内容を確認していなかった。

地方裁判所は審判部(PTAB)がCBMレビューを行うかどうかの決定を出すまでは裁判の中断を考慮することを拒否した。地方裁判所はマークマンヒアリングを2015年6月に、裁判を同年10月に設定した。

2014年3月、PTABは申し立てられた個々のクレームに対するCBMレビューを開始し、カリダスは裁判中断を再申請した。2014年4月、カリダスは前回申立てしなかった304特許および024特許の残りのクレームの有効性の見直しを求める第2のCBM請願書も提出した。

2014年5月、地方裁判所は326特許に関する裁判の中断を認めたが、024特許および304特許の裁判に関しては中断の申立てを却下した。カリダスはこの決定に対する中間控訴を提出した。控訴審は途中であったが、PTABはカリダスの第2の請願を認め、CBMレビューを開始した。

CAFCは米国発明法(AIA)に述べられている適用基準に基づき、地方裁判所による裁判中断の申立て却下を破棄した。AIAは、地方裁判所がCBMレビュー手続きに基づき裁判の中断を認めるか否かを判断する際に考慮すべき以下の4つの要因を示している。

(1)中断することで問題の争点および裁判の流れを単純化することになるか

(2)開示手続きが完了しているか、また、公判日が確定しているか

(3)中断することが被申立人に著しく不利益を与えるか、あるいは申立人が明らかに戦略上の優位になるか

(4)中断することで訴訟当事者および裁判所の負担が軽減するか

CAFCはこれらの個々の要因は中断することの優位性を示していると結論付けた。

カリダスが争点のクレームのサブセットだけのCBMレビューを求めており、特許権侵害の主張に関しベルサータを相手取り反訴していることから、地方裁判所は裁判の中断が争点を単純化することにはならないと判示した。

控訴審において、ベルサータも、カリダスのCBMレビューは特許適格性のある争点について言及しているだけであり、他の特許無効理由について言及していないと主張した。

CAFCは地方裁判所とベルサータの主張を否認し、中断はCBMレビュー手続きが全ての主張クレームあるいは可能な無効性の抗弁について言及していない場合に認められるべきものであると述べた。

CAFCは、特許の全ての独立クレームならびにいくつかの従属クレームに対してCBMレビューが行われていたと指摘し、さらに、PTABが最近024特許および304特許の残りのクレームに対するCBMレビューを開始したという事実を公表した。

地方裁判所は、開示手続きの完了および公判日に関する要因が、中断に対して否定的もしくは中立的な重み付けをしていると述べた。

CAFCは、PTAB決定の予定日が公判予定日より十分前の日付であり、公判前に完了していなければならない幾つかの問題があるという事実を考慮する上で、地方裁判所は明らかに誤りを冒したと判断し、さらに、地方裁判所が決定の時点で行われている開示手続きの量を考慮したのは誤りであると述べた。

PTABによるCBMレビュー開始日の時点で発生した訴訟の進行の無視を地方裁判所は強制されるものではないが、この要因を評価する諸般の事情の評価のタイミングは申立の時点であるとCAFCは述べた。

よってCAFCは、タイミングの要因は裁判中断の申立を支持するものであると判断した。

不当な限定または戦術的優位性の要因に関し、地方裁判所は、カリダスは自身の侵害の反訴の主張を続ける一方でベルサータの侵害の主張を中断することを要求することによって、ベルサータに対して不当な戦術的優位性を持つと判断した。

CAFCは、カリダスが反訴を含めて訴訟全体を中断することを意図していたことを記録が示していることから、地方裁判所の認定は明らかに誤りであると判示したのである。

訴訟要因の負荷の軽減に関し、地方裁判所は、カリダスが申立てを実行したことは、訴訟要因の負荷の軽減をするというよりむしろ増大させていると認定した。

CAFCはこれについても地方裁判所の判断は誤りであったと判断し、適切なテストは、当事者の過去の行為ではなく、訴訟の中断の影響に焦点を合わせるものであると述べた。

したがって、CAFCはこの要因は第一の要因で述べた理由と同じ理由により、中断することを認めるものであると判断したのである。

この判決のポイント

ベルサータ判決は、付与後レビューの申立があったときの裁判の中断を判断する基準を適切に分析している。AIAが定めているファクターを考慮し、被告は特許のCBMレビューの間、裁判を中断してもらうことが可能である。

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