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月刊The Lawyers 2014年7月号(第176回)

3. General Electric Co. et al. 対 Wilkins et al. 事件

No. 2013-1170 (May 8, 2014)

- 共同発明者を主張する者に、先ず信頼性のある証言、
次にその裏付け証拠を求めた判決 -

General Electric Company及びGE Wind Energy, LLC(以下、まとめてGE)は、米国特許第6,921,985号(以下、985特許)及び米国特許第6,924,565号(以下、565特許)の特許権の確認を求めてウィルキンス氏(Thomas A. Wilkins)を訴えた。

ウィルキンス氏は、(1)985特許の発明者として追記されることと、(2)985特許及び565特許に関する特許権を所有することの宣言とを求めて反訴した。

第三者である三菱重工及びMitsubishi Power Systems America, Inc.(以下、まとめて三菱)は訴訟に参加し、ウィルキンス氏が985特許の共同発明者であり共同特許権者であることの宣言を求めて反訴した。

GEがウィルキンス氏を訴える前に、GEは少なくとも2つの別個の事件において三菱に対して985特許の特許権を行使した。これらの訴訟の間に、三菱は、当初は先行技術調査のために、その後はGEとの訴訟に参加するためにウィルキンス氏を顧問として雇用した。ウィルキンス氏は三菱に対する顧問料として合計で約200万ドルを受け取っている。

ウィルキンス氏に対する事件において、地方裁判所は略式判決でウィルキンス氏の特許権所有の主張を時効として退け、ウィルキンス氏の発明者適格について非陪審審理を行った。証拠を審理した後、地方裁判所は、ウィルキンス氏が985特許の何れかのクレームの主題を共同発明したことを、ウィルキンス氏及び三菱は立証していないと結論付けた。

この結論に至る際に、地方裁判所は、訴訟への関与を続けるためにウィルキンス氏が三菱に相当な額の支払を要求したことから、ウィルキンス氏の信頼性が弱体化していると判断した。

従って、地方裁判所は、ウィルキンソンが誠実に証言するよりも個人的利益を得ることに強い関心があったと理由づけた。さらに、地方裁判所は、ウィルキンソンが基本的な質問に対して故意に曖昧な回答をし、反対尋問において繰り返し問責されていたと認定した。

控訴審において、CAFCは、ウィルキンス氏本人が発明者性の主張を明確かつ説得力のある証拠によって立証していないという地方裁判所の認定を支持した。

CAFCは、発明者適格の立証には、法律によって、共同発明者とされる者による信頼性のある証言による裏付け証拠が必要とされており、その証拠としての充足度は「合理の原則」基準の下で評価されるとした。

「合理の原則」テストは、申し立てられた発明者性の主張の十分な裏付けの有無を判断する目的で、すべての関連証拠を評価する。従って、閾値問題として、「合理の原則」要件を適用するためには、事実認定者が合理的であると判断可能な何らかの証拠が存在しなければならない。

よって、CAFCは、共同発明者を主張する者はまず信頼できる証言を提供しなければならず、この証言も裏付けを要すると説明し、ウィルキンス氏を信頼できないとした地方裁判所の認定に誤りはなく、それゆえ地方裁判所は裏付け証拠書類の影響を評価する必要はなかったと判示した。

CAFCは、それにもかかわらず地方裁判所は、裏付けのための記録内のすべての証拠を分析したと述べ、地方裁判所は記録内のすべての裏付け証拠とされる書類に対処する必要があるとしたウィルキンス氏の主張を退けた。

むしろ、CAFCは、地方裁判所が意図的に裏付けられた証拠のすべてを考慮し、その証拠の多くの問題点を列挙したと認定した。よって、CAFCは地方裁判所の事実認定を支持した。

この判決のポイント

この判決は、発明者適格に関する紛争で「合理の原則」要件が適用される状況を明らかにした。この判決は、共同発明者を主張する者が裏付け証拠書類を信頼性に乏しい証言を補う目的で使用することができない可能性があることを示した。むしろ、共同発明者を主張する者は、クレームされた主題への十分な貢献を立証する信頼性のある証言をまず提供しなければならない。 その後の裏付け証拠は分析対象として考慮される。

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