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月刊The Lawyers 2013年3月号(第161回)

1. In re Yamazaki

No. 2012-1086 (December 6, 2012)

- 不要なターミナル・ディスクレーマーを訂正目的とする再発行申請を拒絶した判決 -

CAFCは審判部による再発行特許の拒絶審決を支持した。CAFCは、山崎氏の特許の審査中に提出されたターミナル・ディスクレーマーを取り消すために再発行手続を利用することはできないと結論付けた。

1995年、特許権者である山崎氏は「低濃度のリンを有する改良型半導体」に関する米国特許出願を行った。審査過程で、審査官は山崎氏の過去の特許に基づき自明型ダブルパテントを理由に拒絶理由を通知した。

この拒絶理由を解消するために、山崎氏はターミナル・ディスクレーマーを提出したが、後に、山崎氏はターミナル・ディスクレーマーを不要にするために、先行特許クレームから特許性のある相違点が出るように補正した。

続いて山崎氏はPTOに対し、ターミナル・ディスクレーマーの取り消しを求める請願書を提出した。PTOはこの請願書に対して対応せずに審査を進め、許可通知を発行した。山崎氏は取り消しを求めた請願書が庁内で保留された状態で特許料を納付した。

こうして、特許発行日においても取り消しを求めた請願書は保留されたままであったため、ターミナル・ディスクレーマーは有効になった。その結果、特許期間は著しく短縮された。

特許発行から3か月後、PTOは記録されたターミナル・ディスクレーマーは特許発行後に取り消すことはできないとして、山崎氏が提出したターミナル・ディスクレーマーの取り消しを求めた請願書を却下した。そこで山崎氏はターミナル・ディスクレーマーを取り消すために特許の再発行を申請した。PTOは、山崎氏の宣誓書は再発行特許出願の理由となる誤りについて述べていなかった点で不完全であると判断した。これに対し山崎氏は審判を申し立てた。

審判部は2つの理由から特許を再発行することはできないと判断した。第一に、制定法は失効した特許の再発行を禁じており、山崎氏の特許は審判部の審決までに失効していた。第二に、制定法は原特許が発行された時点で設定された特許期間を超える再発行特許期間を認めていない。

CAFCにおける争点は、ターミナル・ディスクレーマーが特許法上の特許期間あるいは単にその失効日に影響を与えるか、という点であった。CAFCは、ひとたび特許が発行されると、ターミナル・ディスクレーマーは発行された特許の一部となるので、特許は、その放棄された期間がその特許期間の一部ではなかったものとして扱われるのである。

CAFCはターミナル・ディスクレーマーを原特許の一部として扱うことの決め手となる法律を見出した。次にCAFCは、特許クレームの放棄は原特許に帰属することから、判例に基づき、ターミナル・ディスクレーマーを提出した原特許の放棄された期間は存在しなかったものとして扱われるとの判断を下した。CAFCは、制定法上の「期間」および「原特許」という文言の解釈の裏付けを特許法の他の項から見出した。

CAFCは、制定法が再発行特許を認めなかったので、これらの争点は何の結果ももたらさないと述べ、特許発行前、および特許失効前に、PTOが山崎氏の請願書に対応するまでにかなりの時間が経過したことは不運であったと述べた。

しかしながら、出願人がターミナル・ディスクレーマーを取り消す請願書の提出後に特許発行を遅らせる手段を活用しなかったことは不注意であると述べた。さらに、CAFCは特許の再発行は、単純に特許権者が審査中の個々の誤りを修正させるためのものではないとの見解を示した。

この判決のポイント

この判決は迂闊に提出したターミナル・ディスクレーマーを回復させるような手続き上のエラーの訂正目的の再発行申請を拒絶した。そのような場合は、その特許出願を継続させ、その出願手続きの中で適切な措置を講じなければならないことを教えている。

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