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月刊The Lawyers 2012年2月号(第148回)

2. Construction Equipment Co. 事件

No. 2010-1507 (December 8, 2011)

コンストラクション・イクイップメント(Construction Equipment)事件の発明は、「瓦礫用のモバイルスクリーンアセンブリ」に関する。この事件が異例なのは、その訴訟手続上の経緯による。

争点となっている特許権は以前に特許侵害訴訟において主張され、その特許は(非自明として)有効であり侵害されているとして、被告に対して差し止め命令が出されていた。

CAFCは以前、その発明が先行技術に対して自明でないとした地方裁判所の判決を支持した。しかしこの事件において、CAFCは本質的に同じ先行技術に対してその特許を無効とした米国特許商標庁(USPTO)の再審査の判断を支持した。

先の訴訟の被告は、先の訴訟の対象であった先行技術と本質的に同じ技術に基づく特許性に関する実質的に新たな争点があると主張し、USPTOに対して査定系再審査請求を提出した。USPTOは再審査請求を認め、最終的にこの先行技術に対して特許発明は自明であるとした。特許権者は上訴した。

CAFCはGartside事件203F.3d 1305, 1316 (Fed. Cir. 2000)に基づいて、USPTOの事実認定に関し、慎重な「実質証拠」基準を採用した。この基準を適用し、CAFCは「(特許権者である)CEC自身が認めているように、材料をふるいにかけ、選別することの基本概念は新規でない。564特許にあるように、コンベアーで材料を運搬する、またはトレーラーに選別機を搭載することの概念も同様に新規でない。CECが主張した発明は、もっぱら周知の要素を機械に合体させることで構成され、場合によっては新しいかもしれないが、それでもやはり自明であり、故に特許性はない」と単に述べただけである。故に、CAFCは自明とのUSPTOの判断を支持した。

ニューマン判事は、先の訴訟で判決された争点に関する再訴訟を禁止する副次的禁反言としても知られる既判力の原則に基づき、本質的に同じ先行技術に対してクレームを有効と認定したCAFCの先の判決は、この事件におけるUSPTOの司法的判断を除外する効力を有するべきであったと主張し、強い反対意見を唱えた。

彼女の見解では、この原則に違反して、政府の司法機関(第V条に基づく司法裁判所)から行政機関(第T条に基づく専門裁判所)への裁定権の移管を事実上認めることは、憲法違反である。

多数派は「この事件のどの段階においても、再審査自体が違憲であるとの指摘は、どちらの当事者も申立ても主張もしていない。連邦裁判官による上訴裁判所は、適切な時期を逸した当事者の主張を取り上げない安定した実務を行う。」と主張した。

既判力の適用について、CAFCはさらにSwanson事件540F.3d 1368 (Fed. Cir. 2008) における先の判決に頼った。その判決の内容は以下の通りである。

「この事件では、同一の特許に係る訴訟において、地方裁判所による特許有効の判決をCAFCが支持していたとしても、再審査請求の当事者がその裁判で先行技術の主張に失敗した文献に基づいて再審査を始めることができるとしたUSPTOの判断は誤りではない(同判決1379)。CAFCによると、Swanson事件は再審査に関する法律とその立法上の経緯についての詳細な審理を含む(同判決1376-1377)。具体的には、CAFCが支持した地方裁判所の判決は、再審査における審査官のクレームの拒絶とは矛盾しないと述べている。その理由は、地方裁判所の判決は、特許権それ自体が有効であるとするものではなく、訴えられた侵害者が特許無効の立証義務を履行しなかったというものであるからである(同判決1379)」。

故に多数派は「支持された裁判の判決と再審査における審査官の拒絶とのあいだに矛盾は存在しない」と結論付けた。

最後に、多数派は、ある手続における一方の当事者に対する特許有効との認定が、他の有効性に関する訴えの妨げとなるだろうとする反対意見の忠告を排除した。多数派は、そのような見解は「相互的でない攻撃的な副次的禁反言の概念を大きく拡げるものである。我々は、特許事件について副次的禁反言に関するその他のあらゆる準拠法と矛盾する規則を採用することを拒否する。」と述べた。

コンストラクション・イクイップメント事件は、地方裁判所での訴訟において特許無効抗弁に失敗した当事者が、同じ先行技術と主張を用いても、USPTOにおける再審査手続において無効の主張をさらに続けることの可能性を明らかにした。

この判決のポイント

この事件において、CAFCは以前に、特許権が先行技術に対して非自明であるとの地方裁判所の判決を支持したが、実質的に同じ先行技術に基づいてその特許発明が自明であり、再審請求の対象であるとしたUSPTOの判断を支持した。この判決により、地方裁判所での訴訟において特許権の無効抗弁に失敗した当事者であっても、USPTOにおける再審査請求の手続において、特許無効の主張を続けることが可能となった。

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