月刊The Lawyers 2009年10月号(第120回)
3. Ortho-McNeil Pharm., Inc. 対
Mylan Labs., Inc.事件
No. 2008-1600 (June 11, 2009)
- 並行して行われた裁判の間で
非弁護士費用を勝訴側に認めるかについて判断した事件 -
ミラン・グループ(Mylan Laboratories 及び Mylan Pharmaceuticals 以下、合わせて「ミラン」)は、約130万ドルの費用の支払いを第一三共(現在、第一三共株式会社)に命じた地方裁判所の判決に対し控訴した。
この費用は、レボフロキサシン(lovofloxacin)という、商品名では「Levaquin」という名称で知られている複合抗生物質に関する、米国特許第5,053,407号に関する特許裁判費用である。
CAFCは、証言録取書も合わせた費用の裁定に関する地方裁判所の判決を破棄し、争点となった証言録取書の費用の配分をするよう、事件を差し戻した。他の費用の裁定については支持した。
2001年11月、ミランはレボフロキサシン錠の製造販売認可を求めて、医薬品簡略承認申請(ANDA)ならびに、第一三共の特許が無効であること主張した「第4項」証明書を、食料医薬品局(FDA)に提出した。
第一三共はミランに対し、ハッチ・ワックスマン侵害訴訟を持ち出し、地方裁判所は最終的に、ミランが特許の無効あるいは権利行使不能の抗弁を立証しなかったと判示して、第一三共の主張を認める判決を下した。
CAFCの過去の判決において地方裁判所による特許無効及び権利行使不能の判決を支持したのである。
費用の争点に関し、CAFCは連邦民事訴訟規則第54条(d)を適用した。この規則は、連邦法、連邦規則あるいは裁判所の指令が支払いを認めていなくても、勝訴側への費用の支払いを定めている。
そのような費用とは通常、裁判費用、召喚費用、謄本、コピーおよび翻訳費用に関する費用を含む。CAFCは、第一三共が算出した翻訳料を含む費用、220万ドルを130万ドルに減額した地方裁判所の裁定を支持した。
地方裁判所に裁定を差し戻された唯一の費用は、第一三共の証人が2回証言する必要がないように、ミランとテヴァが採用した共同の証言録取書に関するものであった。ニュージャージー州における並行した事件において、第一三共と被告のテヴァは和解し、裁判所は何の費用の支払いも命じなかった。(Ortho-McNel Pharm., Inc. 対 Teva Pharms. USA事件、No. 3:02-CV-02794(D.N.J. filed June 12, 2002))
地方裁判所は、この事件とテヴァの事件との間に共同の開示費用は配分されるべきであるというミランの主張を退けた。
控訴審において、ミランは、正式な共同開示手続きの同意はなかったけれども、証言録取書はミランとテヴァ両者によって正式に両方の事件に採用された、と主張した。これらの証言録取書が必要であるということに異論はなかった。
第4巡回裁判所法に何の規定もなかったので、この裁判所は、この状況において費用が配分されるべきかを判断するために姉妹裁判所の判例に注目した。
CAFCは、他のCAFCによる様々な事件を検証した。これらの事件では、裁判当事者は彼らの権利以上の損害回復はできず、勝訴側が二重に損害回復を受けないように費用を配分するよう判示していた。
しかしながら、これらの事件はいずれも複数当事者による1つの事件に関するものであった。付随的に、CAFCは、裁判所がニュージャージー州における並行して審理されている事件で第一三共への費用の支払いを認めていたならば、二重の損害回復となる同じ当事者に、この事件において同じ費用の支払いをすることは認められない、と述べた。
この事件は並行する裁判の和解に関するものなので、現在の状況は実際の費用支払いとは区別された。
CAFCは、第一三共はテヴァとの和解を通して事実上、コストの一部を既に回復していたと述べた。テヴァは実際には第一三共に対して費用を現金で支払ってはいなかったが、第一三共は、テヴァが控訴をしないことを考慮して、費用を要求しないことに同意した。
テヴァが控訴しないことに同意したことを通して、第一三共が和解における費用対価を回復したことから、CAFCは、第一三共が同じ費用を再びミランから取り戻すことはできないと判示した。
したがって、CAFCは地方裁判所の費用の支払いを認める判決を破棄し、二つの訴訟間の費用をさらに配分するために事件を差し戻した。
この事件は、並行して審理されている裁判間で、どのように非弁護士費用を勝訴側に認めるかについて述べている点で興味深い。