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月刊The Lawyers 2007年3月号(第91回)

2. Plumtree Software, Inc. 対
Datamize, LLC事件

Nos. 2006-1017, 2006 WL3703180 (December 18, 2006)

- 特許侵害訴訟に脅かされている第三者が確認訴訟を提起できる要件を取り扱った事件 -

Plumtree Software事件において、原告Plumtree Software, Inc.(以下、Plumtree)は、Datamize, LLC(以下、Datamize)に対して確認訴訟をカルフォルニア州北部地区地方裁判所に提起した。

Datamizeの特許である米国特許第6,460,040号(以下、040特許)と第6,658,418号(以下、418特許)を特許侵害しているとDatamizeが主張している点を裁判所に確認を求めて訴訟を提起した(注)

略式判決の申立の中で、Plumtreeは、米国特許法第102条(b)の販売による不特許事由に基づき、040特許と418特許は無効であると主張した。Datamizeは第3条に基づき事物管轄の欠如を理由に本件の申立の棄却を求めた。地方裁判所はDatamizeの棄却の申立を却下し、040特許と418特許の方法クレームは、各々の出願日の少なくとも1年以上前に販売もしくは販売の申込みがあったことを理由に、Plumtreeの主張を認める略式判決を下した。

040特許と418特許は「コンピュータ支援情報伝達システムのためのオーサリングシステム」に関する。請求の範囲に記載されている発明は、電子キオスクに使用される他のカスタマイズされたコンピュータプログラムを作成するコンピュータプログラムである。

本発明は最初のコンピュータプログラムを作成するためのソフトウェアと方法の両方を含むものである。カスタマイズされたコンピュータプログラムは、キオスクの利用者がタッチスクリーンもしくはキーパッドを使用してシステムからの情報にアクセスすることを許諾するものである。

例えば、コンピュータプログラムを利用して、スキーリゾート地の顧客にその地元のホテルやレストランの名前等の情報提供をする電子キオスクを作成することができる。

Plumtreeは「企業内ポータル」と呼ばれるタイプのソフトウェアを開発するコンピュータソフトウェア会社である。企業内ポータルは、企業内ネットワークのサイトを編成したい企業のためのウェブベースのソフトウェアである。

このソフトは企業の従業員がそれぞれのカスタマイズされた単一のデスクトップスクリーンで様々な仕事関連の申請や情報にアクセスすることを可能とする。

CAFCが最終的に地方裁判所の略式判決を破棄したにも関わらず、「当事者間」に「現実の紛争」があっため、第3条管轄権を確認した。

裁判所は、特許侵害訴訟に脅かされている当事者が確認訴訟を提起することが可能か否かを判断するのに、ツーパートテストを用いた。前述した様に、次の2つの要件を満たさなければならない。

(1)確認訴訟を提起する原告に特許侵害訴訟に直面することを予測させる十分な不安、特許権者からの明確な脅迫もしくは他からの訴訟提起がある。

(2)現在の行動が侵害を構成するもしくは侵害を意図するような具体的行動が取られている。

CAFCは第3条テストの両方の要件を満たしていると判断した。CAFCは過去にDatamizeがPlumtreeに対して同様の侵害訴訟を提起していることからも最初のテストの条件を満たしているとし、第二の条件も両者が企業内ポータルのプログラムを作成することに同意はしたが、Plumtreeが040特許及び418特許の侵害を構成するような行動に従事していると判断した。

次に、CAFCは販売による不特許事由の観点でPlumtreeの略式判決の申立について検討した。米国特許法第102条(b)によれば、特許出願の出願日「基準日」よりも1年以上前にその発明が販売もしくは販売の申込みがあれば、特許付与の要件を満たさない。前述した様に、米国最高裁判所はPfaffテストと呼ばれるツーパートテストを使用し、102条(b)が適用されるか否かを判断した。

第一に、「製品が商業的な「販売もしくは」販売の申込みの対象とならなくてはならない」第二に、「発明に特許付与の準備が整っていなければならない」。この後者の要件は、「発明の基準日前の実施化の立証」により満たされている。

Pfaffテストの第2の要件が満たされたことについて、Plumtree Software事件の両当事者の同意があったにも関わらず、CAFCは、第1の要件に関し、基準日前の「特許発明の」商業的販売の欠如は、販売による不特許事由を適用できないと決定した。

CAFCは、Datamizeが実際に特許出願の1年以上前に特定のキオスクを販売するために商業的な申込みをしたことを確認し、キオスクの販売の申込みは特許を無効にするものではないと判断した。

その理由として、特許はキオスクを作成する方法ではあるが、キオスク自身ではないと判断したからである。

結果として、CAFCは地方裁判所の略式判決を破棄し、102条(b)の販売による不特許事由にも拘わらず040特許及び418特許を有効であるとした。

Plumtree Software事件においては、CAFCは特許権者に対して確認訴訟を提起する基準点の要件を定義した。CAFCの意見によれば、特許権者が確認訴訟を提起している原告に対して同一もしくは類似する技術に関する訴訟を以前に提起しているだけで十分であるとした。

更に、裁判所は特許された方法クレームを実施化したコンピュータシステムの販売もしくは販売の申込みと特許された方法の販売もしくは販売の申込みとの差を示した。

102条(b)の販売による不特許事由を行使するには、原告は特許された発明の実施と言えるシステムの販売を証明しなければならないだけではなく、更に販売条件において、システムに特許された方法が実施されていることを証明しなければならないことが求められた。


(注)040特許と418特許は米国特許第6,014,137号特許(137特許)の継続出願である。本訴訟の前にDatamizeは親出願137特許の侵害を理由にPlumtreeに同様な訴訟を提起していた。しかしながら、地方裁判所は米国特許法第112条第2項に基づく不明瞭性を理由に137特許のクレームの無効と賠償の否認の判決を下した。

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