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月刊The Lawyers 2005年6月号(第72回)

1. Brooks Furniture Mfg. 対 Dutailier Int’l Inc.事件

(2005年1月4日 CAFC判決)

- 原告が敗訴しても、被告負担の弁護士費用の支払いを免れられるケースとは -

2005年1月4日、CAFCは、Brooks Furniture Manufacturing, Inc.(以下、Brooks)が提訴した、Dutailier International Inc.(以下、Dutailier)の特許の無効および非侵害についての確認判決を求める訴えは、例外的な事件であるから弁護士費用を敗訴者に負担させるという地方裁判所の判決を破棄する意見書を出した。

Newman判事による意見書によれば、CAFCは米国特許法第285条に基づく例外的事件の基準について着目したが、本件は例外的事件ではないから、勝訴者に弁護士費用の支払いを受ける権利は無いと判断した。

DutailierがBrooksの椅子を十分に調査し、Brooksに対し製造販売の中止を要請するレターを送った後、Brooksは、Dutailierの983特許の非侵害、および同特許を無効とする確認判決を求めて地方裁判所に提訴した。

それに対しDutailierは、いくつかの理由とともに特許権侵害を主張してBrooksを訴えた。

地方裁判所は、Brooksによる非侵害の略式判決の申立を認めたが、特許を無効とする略式判決の申立は議論の余地があるとして認めず、事件が例外的であると判断し、Brooksの弁護士費用の要求も認めた。

米国特許法第285条は「例外的事件において裁判所は勝訴側に弁護士費用を認める」と明確に規定している。係争事項に関連し、故意の侵害や詐欺、または特許を取得する上での不公正行為、もしくは不当な訴訟など、重大な不適切行為があった場合に、事件は例外的であるとされる。Cambridge Prods. Ltd. 対 Penn Nutrients Inc.事件、962 F.2d 1048, 1050-51 (Fed.Cir.1992)を参照。

CAFCは、訴訟行為または特許取得行為において制裁を課しているか、また、違法行為が無かったかどうかについての2つのテストについて再度概括した。

このテストは、@ 訴訟が悪意に基づくものであるか、A 訴訟の根拠が客観的に存在しないかどうかを審理するものである。Professional Real Estate Investors 対 Columbia Pictures Indus.事件、 508 U.S. 49 (1993)参照。

CAFCは、まずDutailier側の善意の要件について説明した。控訴審における争点の特許は、ロッキングチェアの装飾に関するデザイン特許(意匠登録)であった。

専門家らによる侵害の鑑定は不十分であり、彼らの下した結論は不合理であるという地方裁判所の認定を、CAFCは破棄した。

デザイン特許権の侵害判断において、デザインの個々の特徴が同一である必要はないと判断した。Gorham 対 White事件、81 U.S. 511 (1871) 参照。

侵害の主張において、特許されたデザイン、もしくは訴えられているデザインの個々の細部について説明されていないからといって、必ずしもこの主張が間違っているとか、信頼性がないということにはならないのである。

実際に、地方裁判所は弁護士の見解を「合理的で、分かりやすく、かつ有力である」と述べていた。

CAFCによると、この種の見解は、裁判所が侵害に関し異なる結論に至ったという単純な理由だけで、信頼性がなく不適格だという全く正反対の見解に変わってしまうようなものではないと説明した。侵害の認定はしばしば難しいため、裁判所がどのように侵害を認定するかを特許権者が結果的に見誤ってしまうこと自体は、悪意を証明するものではないとCAFCは説明した。

次に地方裁判所が悪意の認定をした他の行為についてCAFCは審理した。レターの内容が中断あるいは断念を迫る厳しいものであること、Brooksにライセンスを与える気がないこと、およびDutailierが主張するサイズといった要素は、悪意を証明するものではないとCAFCは述べた。

悪意の要件を満たさないことから、訴訟が客観的に根拠が無いかどうかについて、CAFCは言及しなかった。

この事件によれば、詳細かつ合理的な侵害の有無についての見解は、特許権が侵害されているという合理的な主張を根拠付けるものであり、最終的に事件に勝訴した被告に対して、被告の弁護士費用を支払わずに済ませるための抗弁として役に立つことが判示された点でも注目すべきである。

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