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  4. 4. The Toro Co. 対 White Consolidated Ind.,Inc. & WCI Outdoor Products, Inc.事件

月刊The Lawyers 2005年2月号(第68回)

4. The Toro Co. 対
White Consolidated Ind.,Inc. &
WCI Outdoor Products, Inc.事件

- 開示による発明の解放ルールの適用範囲 -

2004年9月13日、CAFCは、開示による発明の開放ルールとして知られる、クレームしていない発明の開示に関する判決を下した。

Linn判事は、CAFCはJohnson & Johnston Assoc., Inc. 対 R.E. Service Co. 事件, 285 F.3d 1046 (Fed. Cir. 2002)(全員法廷)の判例をさらに説明した。

この事件においてCAFCは、特許権者が開示したがクレームしていない発明は公衆に対し開放されたものであると認定した。さらに、均等論によっても、この開示されているがクレームされていない発明を回復することはできないことを認定した。

本件の控訴審に先立ち、両者は地方裁判所と控訴審裁判所の両方において何度も争っていた。現在の控訴審は、被告であるWhite Consolidate Industries, Inc.及びWCI Outdoor Products, Inc. (合わせて以下、"White")の主張を認める米国特許第4,694,528号(以下、528特許)の非侵害の略式判決に対して控訴されたものである。

地方裁判所は、Johnson & Johnston判例を適用し、特許権者が528特許の、ある発明を開示したがクレームしていなかったことを理由に、特許権者はその発明を公衆に開放したと判示した。

さらに裁判所は、この開放された発明は均等論を適用しても権利回復することはできないと認定した。特許権者であるToroは控訴した。

控訴審において、Toroは3点の主張を提示した。まず第一に、ToroはWhiteの装置の構造に関する発明を意図的にクレームしなかった、もしくは故意にクレームせずにその記述を残したわけではないので、Johnson & Johnston判例を適用するのは誤りである、と主張した。

CAFCは、法律問題として、故意はJohnson & Johnston事件における、開示ー開放の要件とは関係がないと述べて、この主張を却下した。

次に、Toroは、528特許における開示のレベルは開示による発明の開放ルールの誘因となるには不十分であったことを理由に、地方裁判所のJohnson & Johnston判例の適用には欠陥があったと主張した。

CAFCは、開示による発明の開放ルールは、開示されているがクレームされていない発明に対し、§112条の記載要件を課するものではないと述べて、この主張も拒絶した。

さらにCAFCは、開示による開放ルールは§112条とは異なり、「発明の背景」の記述の中でその発明に触れただけで要件を満たすものである、と理由付けた。

最後にToroは以前の関連する事件において、下級裁判所は528特許はWhiteの装置の構造を開示しているがクレームしていない、と誤って結論付けたとし、したがって、クレーム解釈は再度検討されるべきであると主張した。

CAFCはこの主張も説得力に欠けると認定し、地方裁判所による非侵害の略式判決を支持した。

本件は、Johnson & Johnston判例において述べられた開示による発明の開放の要件の範囲を、より明確にしたことから重要である。特に、クレームされていない実施例は公衆に解放されたものと判断される可能性があるという点で注意を要する。

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